雷

雷は、天の力が一瞬で地に届くものとして読まれてきた。「かみなり」はもとは「神鳴り」で、空の上の神が鳴らす音だった。夢の雷は、眠っていた自分をたたき起こす知らせで、夢占いでは大きな変化を告げる吉夢とされることが多い。日本では雷の光を稲妻(稲のつま)と呼び、稲を実らせる相手として迎えてきた。怖いものであり、恵みを連れてくるものでもある。
雷の夢
雷の夢が表すのは、突然の変化、ひらめき、目が覚めるような気づき。長く動かなかったことが、ある日いきなり動き出す。その「いきなり」の形をとって、雷は夢に出てくる。
読み分けの鍵は二つ。
- 雷と自分との距離:遠くで鳴っていたか、目の前に落ちたか、自分が打たれたか。近いほど、変化は自分のものになる
- 光と音のどちらが残ったか:稲光がまぶしかったなら、気づきやひらめきの夢。音が耳に残ったなら、まわりから届く知らせや揺さぶりの夢
雷が落ちる夢
目の前に雷が落ちる夢は、運命の出会いや、人生の向きを変える出来事の知らせとされる。光に目がくらんだのに怖くなかったなら、その出来事は歓迎していい。
家に雷が落ちた夢は、暮らしや家族の中に大きな入れ替わりが来る夢。落ちた雷から火が出た夢は、変化の勢いが燃え上がっている。燃える夢の読み分けは → 火事、家
雷に打たれる夢
自分が雷に打たれる夢は、雷の夢のなかでいちばん強い。暮らしの足場か、ものの見方か、そのどちらかが根元から入れ替わる。打たれたあとに立ち上がっていたなら、その変化をくぐり抜けたあとの自分が、もう始まっている。
他人が打たれるのを見た夢は、その人の身に起きる変化に、自分が立ち会う夢。相手が知っている人なら、その人との関係の形が変わる。
雷の音だけが聞こえる夢・すごい音の夢
光は見えず、ゴロゴロという音だけが続く夢は、まわりの人間関係がざわついている知らせ。何かが起きそうで、まだ起きていない。雷鳴にびっくりして飛び起きた夢なら、夢占いでは、変化が幸運の形で来る吉夢とされる。音の大きさは、届く知らせの大きさ。
稲妻が光る夢
空を走る稲妻を見上げる夢は、ひらめきの夢。探していた答えや、進む道が、一瞬で見えるときが近い。稲妻が一瞬しか光らなかったなら、ふと浮かんだ考えを書き留めておく。
雷雨の夢
雷を伴う雨の夢は、胸にたまったものを一気に洗い流す夢。雨の読みは → 雨
雷が怖くて隠れる夢
雷から逃げたり、布団に潜ったりする夢は、変わらなければならないと分かっていて、まだ身がすくんでいる夢。隠れている間に雷がやんだなら、その変化は思ったより穏やかに過ぎていく。
雷様・雷神が出てくる夢
太鼓を背負った雷様の姿を見る夢は、目上の人や、自分より大きな力から、叱咤や励ましが届く夢。雷様が笑っていたなら、その力は味方についている。風神と一緒に出てきたなら → 風
雷の夢と宝くじ
雷の夢は、宝くじを買うきっかけにされることも多い。雷が目の前に落ちた夢や、稲妻がまぶしく光った夢のように、光の印象が強い夢なら、運試しをしてみていい時期として受け取れる。→ 宝くじ
現実で雷に出会ったとき
- 雷が鳴りはじめた:昔から「くわばら、くわばら」と唱え、子どもには「おへそを隠しなさい」と言った(下の「日本の縁起」)
- 晴れた空で雷が鳴った:思いがけない出来事を「青天の霹靂」と言うのは、澄んだ空に急に鳴る雷から。スピリチュアルでは、よい意味での驚きが近づくしるしと読まれる
- 夜の雷:スピリチュアルでは、雷は古いものを打ち払って場を清める力とされる。眠る前に遠い雷を聞いたなら、その夜は心の中の澱が洗われる夜。人との縁では、雷は電撃のような出会いのしるしとも読まれる
- 冬の雷:雪の降り出す前に鳴る「雪起こし」。→ 雪
- 結婚式の日に雷が鳴った:稲妻の「つま」は、夫婦が互いを呼ぶ言葉。雨を連れてきたなら、雨の日の婚礼の縁起とも重なる。→ 結婚、雨
日本の縁起
- 稲妻・稲光:稲の実る夏の終わりに雷が多いことから、雷の光が稲を実らせると信じられた。「つま」は古くは夫にも妻にも使う言葉で、稲妻は稲の連れ合い。雷の多い年は豊作と言われてきた
- 天神さま:延長8年(930年)、平安京の清涼殿に雷が落ち、大納言の藤原清貫ら廷臣が亡くなった。大宰府に流されて没した菅原道真の祟りと恐れられ、道真は雷の神と重ねられて、北野に天神としてまつられた。いまは学問の神として知られる天神さまは、はじめは雷の神だった。→ 牛、神様
- くわばら、くわばら:雷が鳴ったら唱える雷除け。道真の領地だった桑原には雷が落ちなかったから、という説がよく知られる。ほかに、雷は桑の木を嫌うという説や、井戸に落ちて蓋をされた雷が「桑原には二度と落ちない」と誓って天へ帰してもらった、という話も伝わる
- おへそを取られる:雷が鳴るとおへそを取られる、と子どもに言い聞かせた。雷雨で急に冷える夕方に、お腹を出していないように、という戒め。おへそを隠して身をかがめると、自然に雷様へ頭を下げる姿にもなる
- 賀茂別雷神社(上賀茂神社):京都。玉依日売(たまよりひめ)が川上から流れてきた丹塗りの矢を持ち帰って床に置くと身ごもり、生まれたのが祭神の賀茂別雷大神。のちに雷鳴とともに天へ昇ったと伝わる。雷除けと厄除けの神として信仰されている。→ 神社
- 雷紋:ラーメン鉢の縁をめぐる四角い渦巻き。もとは古代中国で雷を文様にしたもので、魔除けと、雨を呼んで作物を実らせる吉祥の印とされた。日本では、ラーメン鉢の決まった模様として根づいた
- 風神雷神図屏風:江戸時代のはじめ、俵屋宗達が金地の屏風に描いた風神と雷神。京都の建仁寺が所蔵する国宝で、二神は画面の両端に分かれ、真ん中には何も描かれない金地が大きく残されている。→ 風
タロットの雷
ウェイト版で雷がはっきり描かれているのは 塔 だけ。
- 塔:高い塔に稲妻が落ち、冠が飛ばされる。崩れるのは、もう自分を支えていない古い土台のほう。→ 火事、家、落ちる
- 魔術師:雷そのものは描かれていないが、片手の杖を天へ掲げ、もう片方の手で地を指している。天の力を地へ通す姿で、空から地へ一直線に走る稲妻と同じ道筋を描く。雷の夢を見た日にこの札が出たなら、降りてきたひらめきを、自分の手で形にする時期
世界の象徴としての雷
- ゼウス:ギリシャ神話の神々の王。一つ目の巨人キュクロプスたちが鍛えた雷霆を武器に、ティタン族との戦いに勝った
- トール:北欧神話の雷神。槌ミョルニルを振るって巨人と戦う。英語の木曜日 Thursday は「トールの日」
- インドラ:インド神話の雷神。雷の武器ヴァジュラで、水をせき止めていた竜ヴリトラを倒し、川を解き放った。仏教に入って帝釈天となり、ヴァジュラは金剛杵になった。→ 龍
宗達の屏風の雷神は、輪に連ねた太鼓を背負い、雲に乗って身を乗り出している。その真下に描かれていない金色の広がりは、雷が鳴ったあとの空とも、実りを待つ田とも見える。夢に落ちた雷も、打ち鳴らされたあとの静けさの中で、稲の穂のように何かを実らせはじめる。

関連する項目
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