家

家は、夢の中では自分自身の姿として読まれてきた。外から見た家は人に見せている自分、部屋の中は心の中、地下や屋根裏はまだ気づいていない自分の奥。新しいか古いか、明るいか暗いか、しっかり建っているか崩れかけているか。夢の家の様子は、そのまま今の自分の状態を映している。日本の縁起では、家は神が住み、福が出入りする場所として扱われてきた。座敷わらしが住む家は栄え、ツバメが巣をかける家は繁盛する、と言われてきた。
家の夢
家の夢が表すのは、自分の心と体、暮らしの土台、そして安心していられる場所。夢の中の家は、自分という建物の見取り図になっている。
読み分けの鍵は三つ。
- 誰の家だったか:自分の今の家、昔の家、知らない家、他人の家。実家の夢は、親や育った場所との関係が入ってくるので、読みが変わる。→ 実家
- 家の様子:新しいか古いか、広いか狭いか、片づいているか荒れているか
- そこで自分がどう感じたか:くつろいでいたなら、今の自分に無理が少ない。落ち着かなかったなら、今の暮らしか自分の在り方に、合わなくなってきたところがある
知らない家の夢
見覚えのない家にいる夢は、まだ知らない自分に出会っている夢。知らない家に当たり前のように住んでいたなら、自分の中で新しい面が育ちはじめていて、もうそこが自分の居場所になりかけている。
同じ知らない家の夢を何度も見るなら、変わりたい気持ちが、ずっと続いている。家の中が明るく、また行きたいと思える家なら、その変化は自分を楽にする方へ向かっている。暗くて怖い家だったなら、新しい環境や立場に、まだ体が構えている。どこが怖かったのか、どの部屋に入れなかったのかを思い出すと、構えている理由が見えてくる。→ 迷う
新しい家・引っ越す夢
新しい家に住む夢、引っ越す夢は、生まれ変わりの夢。考え方や人間関係、仕事の立場が、ひと回り新しくなる時期に見る。新しい家が気に入っていたなら、その変化を自分でも望んでいる。荷造りばかりで引っ越し先に着かない夢は、手放すものを選んでいる途中。
古い家・昔住んでいた家の夢
昔住んでいた家に戻る夢は、その頃の自分が持っていたものを、今の自分が必要としている知らせ。子どもの頃の家なら、素直さや、好きなものに夢中になれた力。その頃に置いてきた気持ちが、今の自分に話しかけている。
古びた家、傷んだ家の夢は、疲れがたまっている知らせでもある。古くても手入れの行き届いた家なら、長く続けてきたことが、自分の土台として根を張っている。祖母の家の夢は、→ 祖母
大きな家・豪邸の夢
大きな家に住む夢は、自分の器が広がっている時期。やりたいことも、受け止められることも増えている。大きいのに人の気配がなく寂しかったなら、広がった分だけ、心を満たすものを求めている。友達の家が豪邸だった夢は、その友達の中に、自分もほしい豊かさを見ている。
家が壊れる夢
怖い夢だが、夢占いでは建て直しの夢として読む。古い考え方、合わなくなった習慣、役目を終えた関係が崩れて、新しく建てる場所ができる。崩れた家を見て、どこかほっとしていたなら、もう手放していいものがある。壁や床が抜けて慌てた夢は、足元の土台を見直す時期。雨漏りの夢は、こらえてきた気持ちが、少しずつにじみ出している。
家が燃える夢・火事の夢
夢占いでは、火事の夢は勢いの夢。家が大きな炎を上げて燃えていたなら、運気や気持ちが一気に燃え上がる知らせで、吉夢とされる。煙ばかりでくすぶっていた、火がすぐ消えた夢なら、燃やしきれていない思いが残っている。→ 火事
家が水浸しになる夢
家の中に水があふれる夢は、感情があふれている夢。澄んだ水なら、溜めていたものが流れて浄められていく。濁った水なら、言えずにいる気持ちが、家の中、つまり自分の中にいっぱいになっている。→ 水
家に知らない人・泥棒が入ってくる夢
家は自分自身なので、そこに入ってくる人は、自分の内側に踏み込んでくるもの。知らない人が勝手に入ってきて怖かったなら、人との距離が近すぎて、疲れている。泥棒に入られる夢は、時間や力を持っていかれている感覚の表れ。入ってきた人と打ち解けていたなら、新しい縁を受け入れる準備ができている。→ 知らない人
家に帰れない夢
電車を乗り間違える、道が分からなくなる、たどり着いても家が見つからない。家に帰れない夢は、自分らしくいられる場所を探している夢。忙しさや人に合わせることが続いて、本来の自分から遠くなっているときに見る。夢の中で最後に帰り着けたなら、戻り道はもう見えている。→ 電車
家を買う・建てる夢
自分の土台をつくる夢。暮らしや仕事を、腰を据えて築いていく時期に来ている。家の形や間取りを考えている夢なら、これからの自分の在り方を、心の中で設計している。
家の中の場所
- 玄関:人や運の入口。玄関が明るく開いていたなら、良い縁が入ってくる
- 台所:生活の力と、人を養う力
- 知らない部屋を見つける:自分の中に、まだ使っていない力や才能がある。家の夢のなかでも、とくに良い知らせとされる
- 地下・屋根裏:心の奥にしまってきたもの。暗い地下へ降りていく夢は、自分の深いところを見に行く夢(下の「世界の象徴としての家」)
- 階段:→ 階段
- トイレ:→ トイレ
- 鍵:家の鍵をなくす、閉められない夢は、→ 鍵
現実で家に起きること
- ツバメが巣をかけた:「ツバメが巣をかける家は栄える」「ツバメは衰える家には巣を作らない」と、各地で言われてきた。人の出入りが多い家や店を選んで巣をかけるので、商売繁盛のしるしとして喜ばれる
- ヤモリが出た:ヤモリは「家守」と書き、家を守る生き物とされる。追い出さずにそっとしておく。→ 白
- 蛇が出た:家の守り神とされてきた。→ 蛇
- 鳩や蜂が巣を作った:→ 鳩、蜂
- 蜘蛛をよく見かける:→ 蜘蛛
日本の縁起
- 座敷わらし:岩手県遠野に伝わる、家に住む子どもの姿の神。柳田國男『遠野物語』には、座敷わらしの住む家は富み栄える、と書かれている。山口孫左衛門の家に住んでいた二人の童女が、ある日よその家へ移っていき、その後、孫左衛門の家は絶えてしまった、という話も収められている。家の栄えは、家に住む見えないものと一緒にある、という考え方
- 鬼門:家の北東(丑寅)の方角。鬼が出入りする方角として避けられ、鬼門には玄関や水回りを置かないとされてきた。鬼門除けには、とげのある葉を鬼が嫌うとされる柊や、「難を転ずる」に通じる南天を植える
- 地鎮祭:家を建てる前に、その土地の神に工事の許しを得て、安全と住む人の繁栄を祈る
- 上棟式・餅まき:柱が立ち、棟木を上げるときの祝い。餅をまくのは、家を建てる喜びを人に分けて、この先の災いを和らげるためとされる
タロットの家
タロットには家そのものを名にした札は無いが、家が描かれている札がある。以下はウェイト版の絵柄。
- カップの10:空にかかる虹に10の杯が並び、夫婦が腕を上げ、二人の子どもが踊っている。遠くに川と一軒の家。心が満ちた家庭、帰りたい場所
- ワンドの4:花や果物の飾りを渡した4本の杖の向こうで、人々が花束を掲げる。奥の建物を、ウェイトは「古い館」と書いた。安らぎ、避難所、家での収穫祝い。新しい家や引っ越しの夢と重なる札
- 塔:雷に打たれた塔の上から王冠が落ち、炎の中で二人が落ちていく。急に崩れて、建て直す。家が壊れる夢、燃える夢と同じことを言っている札
- ペンタクルの10:アーチの下に三世代が集う。家に受け継がれていく豊かさ。→ お金
家の夢を見た日に 塔 が出たなら、崩れているのは古い間取りで、自分自身ではない。カップの10 が出たなら、帰りたい場所はもう見えている。
世界の象徴としての家
- ユングの家の夢:心理学者のカール・ユングは1909年、何階もある家の夢を見た。上の階はロココ風の広間、1階は中世の古い家具、石の階段を降りた地下室はローマ時代の造りで、さらに下の洞窟には骨と二つの頭蓋骨があった。ユングはこの夢を、心が何層にも重なっていることの表れと受け取り、いちばん深い層を「集合的無意識」と呼ぶ考えにつなげた。夢の家を心として読む見方の、よく知られた始まり
- ヘスティアとウェスタ:ギリシャ神話のヘスティアは、家の中心にある炉の女神。ローマではウェスタと呼ばれた。家の真ん中で燃え続ける火が、家族と暮らしを守る
- ラレスとペナテス:古代ローマの家の守り神。家ごとに小さな祠を置いて祀られた。日本の座敷わらしや屋敷の神と同じく、家には家を守るものが住んでいる、という考え方
炉の火も、座敷わらしも、住む人が気づかないうちに家を守っている。夢に出てきた家にも、自分と一緒に、自分を守るものが住んでいる。

関連する項目
実家・祖母・火事・水・知らない人・迷う・電車・階段・トイレ・鍵・蛇・白・鳩・蜂・蜘蛛・お金
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