卵

卵は、まだ殻の中にある始まりとして読まれてきた。外からは何も見えないのに、中では命が形をとりつつある。夢でも、縁起でも、神話でも、卵が出てくるところには「これから生まれるもの」と「それを温めて待つ時間」がある。『日本書紀』は、天と地が分かれる前の世界を、鶏の卵のようだったと書き出している。そこに、可能性、授かりもの、豊かさの読みが重なる。
卵の夢
夢占いでは、卵の夢は多くが吉夢とされる。表しているのは、才能や計画の芽、新しい縁、金運、そして授かりもの。
読み分けの鍵は、卵が殻の中にあるままか、外へ出たか。殻が無傷なら、まだ温める時期。ひびが入った、かえった、割れたなら、中にあったものが動き出している。その動き出し方を、自分がどう感じたかで読みが分かれる。
卵が割れる夢・卵を割る夢
いちばん多く検索される卵の夢。手が滑って落とした、パックの中で割れていた、という夢は、温めていた計画や期待が思いどおりに進まない不安の表れとされる。金運では、出ていくお金が増える知らせとも読まれる。
一方で、自分で卵を割る夢は、殻を破って一歩を踏み出す夢。料理をするために割ったなら、持っている力を実際に使う時期に来ている。割れた中身がきれいだったなら、心配していたほど悪いことは起きていない。
たくさんの卵の夢・たくさん割れる夢
たくさんの卵は、手の中にある可能性の多さ。並んだ卵を眺めて満ち足りていたなら、豊かさが育っている。たくさんの卵が一度に割れた夢は、あれもこれもと抱えて、手が回らなくなっている知らせ。いくつかを置いて、残った卵を温める時期。
卵がかえる・孵化する夢
卵の夢のなかでもいちばんの吉夢。時間をかけて温めてきたことが、形になって出てくる。ヒナが自分で殻をつついて出てきたなら、努力が自分の力で実を結ぶ。何が生まれたかも手がかりで、鳥のヒナなら知らせや旅立ち、蛇なら金運や生まれ変わり。→ 鳥、蛇
卵を産む夢
新しいものを生み出す夢。仕事の企画、作品、暮らしの変化。自分が卵を産んでいたなら、自分の中から新しい力が出てくる時期。鶏が卵を産むのを見ていたなら、身近なところで実りが生まれる。子を授かる知らせとして受け取る人もいる。→ 妊娠、出産
ゆで卵の夢・卵焼きや卵料理の夢
ゆで卵は、殻の中身がすでに固まっている卵。準備が整って、中身が落ち着いている状態として読まれる。大事な人のためにゆでていたなら、その人に注ぐ愛情が深まっている。
卵焼きや卵料理を作る夢は、手元の材料で暮らしを整えていく夢。誰かに作ってもらったなら、支えてくれる人がいる。
卵を食べる夢
卵の力を自分の中に入れる夢。元気を取り戻す時期、才能を自分のものにしていく時期。生卵をそのまま飲んでいたなら、急いで力をつけたい気持ちが出ている。
金の卵の夢
金色に光る卵は、大きな才能と財の夢。自分の中にまだ見ぬ力がある、あるいは、育てれば大きく実る人や仕事に出会う。急いで中身を取り出そうとしていたなら、寓話の農夫の話を思い出していい(下の「世界の象徴としての卵」)。→ 金色、お金
腐った卵の夢
温めずに放っておいたものの夢。先延ばしにしてきた計画や、使わずにいる才能が、そのままになっていると知らせている。腐った卵を捨てた夢なら、手放して次へ移れる。
卵を拾う・もらう夢
思いがけない機会が手に入る夢。誰かからもらったなら、その人から可能性を託される。巣から卵を取っていたなら、まだ早いものに手を伸ばしていないかを見る。
生き物の卵の夢
- 鳥の卵:計画や縁が温まっている。→ 鳥
- 鳩の卵:誰かと力を合わせて育てるもの。→ 鳩
- 蛇の卵:金運と、生まれ変わりの種。→ 蛇
- 亀の卵:長く育つもの、授かりもの。→ 亀
- カエルの卵・オタマジャクシ:形を変えて育つ始まり。→ カエル
現実で卵に出会ったとき
- 双子の卵(二黄卵)を割った:スピリチュアルでは、幸運が二つ重なるしるしとして喜ばれる。ひとつの殻に黄身が二つ入っていた、実りの多い卵
- 卵を落として割った:身代わりに割れてくれた、と受け取る人が多い。ため込んでいたものが外へ出た、という読みもある
- カマキリの卵を見つけた:雪国には「カマキリが高いところに卵を産む年は大雪になる」という言い伝えがある。新潟の酒井與喜夫は、この言い伝えを長年かけて調べ、学位論文にまとめた。→ 雪
- クサカゲロウの卵を見つけた:細い糸の先に小さな卵がついた姿が花に見えることから、「優曇華(うどんげ)」と呼ばれてきた。優曇華は、三千年に一度咲くという仏典の想像上の花。咲けば吉兆とも凶兆とも言われ、日本では両方の言い伝えがある
- 家に鳩が卵を産んだ:→ 鳩、家
日本の縁起
- 世界は卵から:『日本書紀』の巻第一は、「古天地未剖、陰陽不分、渾沌如鶏子(とりのこ)」と始まる。天と地がまだ分かれていなかった頃、世界は鶏の卵のように混ざり合っていた。そこから澄んだものが昇って天になり、重く濁ったものが沈んで地になった。この書き出しは、中国の盤古の神話(下の「世界の象徴としての卵」)と同じ像をもつ
- 啐啄同時(そったくどうじ):禅の書『碧巌録』に出てくる言葉。ヒナが殻の内側からつつくのを「啐」、親鳥が外側からつつくのを「啄」と言い、二つが同じ時に重なって、はじめて殻が破れる。早すぎても遅すぎても、ヒナは出てこられない。卵がかえる夢は、この「時が来た」ことの知らせでもある
- 蛇に卵を供える:奈良の大神神社では、巳の神杉の前に、白い蛇の好物とされる卵とお酒が供えられている。→ 蛇、神社、神様
タロットの卵
ウェイト版に、卵を描いた札は無い。卵の読みと重なる札は、次の二枚。
- 女帝:実った麦の畑を前に、クッションにもたれて座る女性。豊かさと、育むことの札。卵を温めている夢、卵を産む夢と、同じことを言っている
- 審判:天使がラッパを吹き、開いた棺から人々が起き上がる。閉じていたものが開いて、中から命が出てくる像は、卵がかえる夢と重なる。呼びかけに応えて殻を破る時期
卵の夢を見た日に 女帝 が出たなら、まだ温める日。審判 なら、内側からつつき始めていい日。
世界の象徴としての卵
- 宇宙卵(世界卵):世界が一つの卵から生まれた、という神話は各地にある。中国の盤古は、鶏の卵のような混沌の中で生まれ、一万八千年かけて天と地を押し分けた。インドでは、原初の水に浮かぶ黄金の卵(ヒラニヤガルバ)から創造神ブラフマーが生まれ、卵の二つに割れたかけらが天と地になった。フィンランドの伝承では、海に浮かぶ者の膝に水鳥が卵を産み、転がり落ちて割れた卵の黄身が太陽に、白身が月に、殻のかけらが星になった
- イースターエッグ:春の復活祭に飾る、色を塗った卵。硬い殻を破って命が出てくる卵は、墓から復活したキリストの象徴とされた。正教会では、赤く染めた卵を交わす習わしがある。→ うさぎ
- ガチョウと黄金の卵:イソップ寓話。毎日一つずつ金の卵を産むガチョウを飼っていた農夫が、腹の中には金の塊が詰まっているに違いないと考えて腹を裂くと、中には何も無く、ガチョウも死んでしまった
金の卵を産むガチョウは、一日に一つずつしか産まなかった。夢で温めていた卵も、パックの中で割れてしまった卵も、殻の内側では、それぞれの速さで何かが育っている。

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鳥・鳩・蛇・亀・カエル・うさぎ・妊娠・出産・赤ちゃん・金色・お金・雪・家・神社・神様
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大アルカナから一枚。
