うさぎ

うさぎは、月にすみ、跳ねて先へ行く生き物として読まれてきた。後ろ足で大きく跳ぶ姿から、日本では飛躍の縁起物になり、子をたくさん産むことから子宝と豊かさの守りにもなった。月の模様にうさぎを見る国は多く、神社では月の使いとして狛犬の代わりに座っている。夢では、身軽に次の場所へ跳ぶ力と、耳を澄ませて周りの気配を拾う繊細な心を表す。
うさぎの夢
夢占いでは、うさぎは飛躍、幸運、子宝、そして寂しがりの心の象徴。うさぎの夢は、新しいことを始める前や、周りの気配に敏感になっているときに見やすい。
読み分けの鍵は、うさぎが跳ねていたか、うずくまっていたか。野原を跳ねまわる、こちらへ跳んでくるうさぎは、運が軽やかに動きだす吉夢。耳を伏せて丸くなっている、震えているうさぎは、自分の心が少し疲れて、守られたがっている知らせになる。長い耳がぴんと立っていたなら、耳に入ってくる話の中に、次の一歩のきっかけがある。
白いうさぎの夢
うさぎの夢のなかでいちばんの吉夢。白いうさぎは、神話の因幡の白兎(下の「日本の縁起」)のように、縁を結ぶ使いとして読まれる。白いうさぎが寄ってきたなら、良い出会いや、願いが通じる流れが近い。大きな白いうさぎなら、その幸運も大きい。白いうさぎを追いかけていく夢は、心惹かれるものに導かれて、知らない場所へ踏み出す夢。→ 白
黒いうさぎ・茶色やグレーのうさぎの夢
黒いうさぎは、まだ人に見せていない願いや、胸の奥の寂しさ。怖さはなく、自分の本当の気持ちに気づく夢として読む。茶色のうさぎは、地に足のついた暮らしの安定。グレーのうさぎは、迷いの中にある時期で、どちらへ跳ぶかを決める前の一息。→ 黒
子うさぎ・たくさんのうさぎの夢
子うさぎは、生まれたばかりの計画や恋、育てたいもの。夢占いでは子宝の夢としても読まれる。うさぎがたくさんいた、子うさぎが次々に出てきた夢は、小さな幸運が重なって、暮らしがにぎやかになる知らせ。二匹で寄り添っていたなら、仲の良い相手との縁が深まる。→ 赤ちゃん、妊娠
うさぎを抱っこする・飼う夢
うさぎを抱く夢は、幸運を自分の腕の中に受け取る夢。温かく、おとなしく抱かれていたなら、今そばにある縁を大切にしていい時期。うさぎを飼いはじめる夢は、新しい楽しみや、守りたい相手を暮らしに迎える準備ができている。
うさぎに噛まれる夢
おとなしいうさぎに噛まれる夢は、身近な人の、言葉にしていない不満や寂しさに気づく夢。自分自身の、我慢してきた気持ちが歯の形で出てきたとも読める。痛かったなら、その気持ちはもう伝えどきに来ている。
うさぎが逃げる夢
つかまえようとしたうさぎが跳ねて逃げていく夢は、急ぎすぎている知らせ。幸運は、追いかけるより、じっと待つほうが寄ってくる。逃げたうさぎが振り返ったなら、その縁はまだ切れていない。
死んだうさぎ・亡くなった飼いうさぎの夢
死んだうさぎの夢は、ひとつの時期や計画が区切りを迎える夢。そこで終わったものが、次に跳ぶための足場になる。亡くした飼いうさぎが元気に跳ねる夢は、会いに来てくれた夢として受け取っていい。向こうで身軽になって、こちらの悲しみも和らいできている。→ 亡くなった人
月とうさぎの夢
月の中にうさぎが見えた、月へうさぎが跳んでいった夢は、遠くに置いていた願いに手が届きはじめる夢。満月なら、なお吉。→ 月
うさぎの夢と宝くじ
うさぎの夢は、跳ねるように運が上がる夢として、宝くじを買うきっかけにされることが多い。白いうさぎ、たくさんのうさぎの夢なら、なお縁起がいい。→ 宝くじ
現実でうさぎに出会ったとき
- 野うさぎを見た:野生のうさぎは用心深く、人前に姿を見せることが少ない。見かけたなら、次へ跳ぶ合図を受け取ったとして読める。跳んでいった方角に目を向けておく
- 神社でうさぎの像に会った:月や縁結び、子授けの使い。うさぎの神社に呼ばれるように参ったなら、今の願いを素直に伝えていい(下の「日本の縁起」)。→ 神社
日本の縁起
- 因幡の白兎:『古事記』の神話。隠岐の島から海を渡ろうとした白兎は、ワニ(鮫とされる)をだましたために毛をはがれ、通りかかった神々に教えられて海水を浴び、痛みに泣いていた。後から来た大国主が、河口の真水で体を洗い、蒲の花粉(蒲黄)を敷き散らしてその上を転がるよう教えると、兎の体は元のとおりに治った。兎は、大国主が八上比売と結ばれることを告げたと伝わる。大国主はのちに根の国で、今度はネズミに命を救われる(→ ネズミ)。鳥取の白兎神社にはこの白兎が祀られ、縁結びの神として参拝される
- 調神社(さいたま市):「調」を「つき」と読むことから、中世以来、月待信仰と結びついて月の宮とされた。うさぎは月の使いとして、狛犬の代わりに境内の入口を守り、社殿の彫刻にもなっている。→ 月
- 岡崎神社(京都):うさぎは氏神の使いとされ、狛うさぎが並ぶ。多産のうさぎにちなんで子授け・安産の社として知られ、手水舎の子授けうさぎに水をかけて祈る。→ 出産
- 卯の日と住吉大社:大阪の住吉大社は、辛卯の年の卯月の上の卯の日に鎮まったと伝わる。卯の日は大切な祭日で、毎年5月最初の卯の日には、鎮座を記念して卯の葉の玉串を捧げる卯之葉神事が行われる
- 波うさぎ:謡曲『竹生島』の「月海上に浮かんでは、兎も波を奔るか」から生まれた文様。湖に映る月の中のうさぎが、波の上を駆けていく。桃山から江戸にかけて、着物や器、欄間に好んで描かれた
- 卯跳ねる:干支にちなんだ相場の格言に、「辰巳天井、午尻下がり……寅千里を走り、卯跳ねる」とある。卯年は跳ねる年、という言い方がここから広く使われている
- 卯:十二支の4番目で、方角は東、時刻は朝の6時ごろ。日の昇る方角と時刻が、うさぎに当てられている
タロットのうさぎ
ウェイト版でうさぎが描かれている札は、ペンタクルのクイーンの1枚。そこに、うさぎの跳ねる力と重なる札を並べて読む。
- ペンタクルのクイーン:実りの豊かな庭で、女王が膝の上の金貨を大切そうに見つめている。その右下の茂みから、うさぎが一匹跳び出している。豊かさと、子を育む力の札。子うさぎやたくさんのうさぎの夢の日にこの札が出たなら、今育てているものは、ちゃんと実っていく
- 愚者:白い犬を連れた若者が、空を仰ぎながら崖の縁へ軽やかに踏み出す。うさぎが跳ぶように、先を案じるより先に一歩が出る札。跳ねるうさぎの夢と重なったなら、身軽なまま始めていい。→ 犬
- 月:夜空の月の下で、犬と狼が吠え、池からザリガニが這い上がる。うさぎは描かれていないが、月のうさぎの夢のあとにこの札が出たなら、願いはまだ夜の側で育っている途中。→ 月
世界の象徴としてのうさぎ
- 月の兎:インドの仏教説話ジャータカに、飢えた老人に差し出す食べ物がなく、自ら火に飛びこんだ兎の話がある。老人は帝釈天で、兎の姿を月に写して残した。日本でも『今昔物語集』に収められている。中国では、月の兎は杵で不老不死の薬をついている。→ 月
- うさぎとかめ:イソップの寓話。足の速いうさぎが途中で眠りこみ、休まず歩いたかめが先にゴールする。跳ぶ力をもつ者への、ひと休みの戒めとして語り継がれてきた。→ 亀
- イースターのうさぎ:春の復活祭に、うさぎが色をつけた卵を運んでくるという言い伝え。ドイツから広まった。多産のうさぎと、命の始まりの卵が、春の祝いで一つになっている。→ 卵
- 白うさぎと不思議の国:ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』(1865年)で、アリスは懐中時計を気にしながら走る白うさぎを追って、穴の底の不思議の国へ落ちていく
因幡の白兎は、真水で体を洗い、蒲の花粉の上を転がって、元の体を取り戻した。竹生島の浮かぶ琵琶湖では、月の中のうさぎが波の上を駆けていく。夢で跳ねていたうさぎが白かったか、どちらへ跳んでいったかを、目が覚めたらまず思い出してみるといい。

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