犬

犬は、そばにいて、待っていてくれる味方として読まれてきた。人より先に気配を聞き取り、家と子どもを守り、帰らない主人を何年も待つ。夢では、自分が信じている人、あるいは自分を信じてくれている人の姿を借りて出てくる。日本ではお産と子どもの守り、山の神のお使い。西洋では冥界の番人で、道案内でもある。どの読みでも、犬は、人のそばに立って、人の代わりに見張ってくれる生き物として描かれる。
犬の夢
夢占いでは、犬は忠実さ、友情、守り、そして身近な味方の象徴。犬の夢は、人間関係の中で誰を頼りにしているか、誰に頼られているかが動いているときに見やすい。
読み分けの鍵は、その犬が自分の側についていたかどうか。一緒に歩いた、なついてきた、何かから守ってくれたなら、味方に恵まれている吉夢。吠えてきた、噛んできたなら、味方のはずの誰かとの間に、まだ言葉にしていない行き違いがある。夢の犬が知っている誰かに似ていると感じたら、その人のことを表している。
白い犬・黒い犬・茶色い犬の夢
- 白い犬:信頼できる味方が近くにいる。まっすぐな縁の知らせで、白い犬の夢を見て宝くじを買う人もいる。→ 白、宝くじ
- 黒い犬:頼もしい守り手。なついてきたなら、口数は少なくても信頼できる人がそばにいる。大きな黒い犬を怖く感じたなら、守ってくれる力の強さに、まだ自分が慣れていない。→ 黒
- 茶色い犬:暮らしに根ざした、気のおけない友人。茶色い犬を飼う夢や、茶色い犬に顔を舐められる夢は、家族や古い友だちとの仲が温まってくる知らせ
犬がなつく・舐められる・しっぽを振る夢
人に好かれる時期に入った夢。相手の方から距離を縮めてくる。顔や手を舐められたなら、その好意は遠慮のない、まっすぐなもの。受け取っていい。
犬に吠えられる夢
誰かからの忠告、あるいは自分の中の警戒心。吠える犬が知らない犬だったなら、まだ会っていない相手や、始める前の計画に、気にかけておくことがある。吠えるだけで近寄ってこなかったなら、今は見張ってくれているだけで、怒っているのではない。
犬に噛まれる夢
味方だと思っていた人との小さな行き違い。痛かったなら、それはもう相手の側からも見えていて、早めに話した方がいい。痛くなかった、甘噛みだったなら、じゃれ合いの範囲で、少し甘えられているだけ。
噛まれた場所でも読む。右手なら仕事や行動の場での行き違い、左手なら気持ちの受け取り方の行き違い、足なら、これから進もうとしている道を誰かが案じている。指は約束ごと。
犬に追いかけられる夢
逃げ切ったなら、手に余りかけていた問題を振り切れる。追いつかれて噛まれたなら、向き合う時期が来ている。追いかけてきた犬が途中で尾を振り出したなら、怖がっていた相手は、実は味方。→ 追いかけられる
子犬の夢・犬を飼う夢
守りたいものが増える夢。新しい友情や恋、世話をしたくなる相手が現れる。犬を飼う夢は、誰かと本気で関わる準備ができている知らせで、柴犬のような日本の犬なら身近な縁、見慣れない大型犬なら、少し遠くから来る縁。
たくさんの犬の夢
仲間が増える夢。群れが穏やかなら、頼れる人の輪が広がっている。一斉に吠えかかってきたなら、周りの声を気にしすぎている。
迷子の犬を助ける・散歩する夢
迷子の犬を助ける夢は、誰かの支えになれる時期の知らせで、助けた犬が家まで帰れたなら、その支えは相手にきちんと届く。犬と散歩する夢は、自分のペースで進めている吉夢。リードを引っ張られていたなら、周りに歩幅を合わせすぎている。→ 迷う
犬が死ぬ夢
飼っていない犬が死ぬ夢は、ひとつの友情や、頼りにしてきたやり方が形を変える夢。終わりではなく、関係が次の段階に移るところ。飼っている犬が死ぬ夢は、その子を大切に思う気持ちが、夢の中でいちばん強い形をとったもので、その子の先行きを告げるものではない。
亡くなった愛犬の夢
見送った犬が、昔のように駆け寄ってくる夢。撫でた、抱っこした、一緒に散歩したなら、会いに来てくれた夢として、そのまま受け取っていい。元気な足取りだったなら、向こうで痛みのない体に戻っている。怪我をしていたなら、それは自分の中に残っている心配や悔いの形で、あの子の今ではない。
お盆のころに夢に来ることも多い。なかなか出てきてくれないのは、忘れたからではなく、待つのが得意な犬らしく、見守る側で待っているから。→ 亡くなった人
現実で犬に出会ったとき
- 知らない犬が寄ってくる:スピリチュアルでは、犬は人の気配の穏やかさを見分けて寄ってくると読まれる。自分の気持ちが開いている時期
- 犬にじっと見られる:見張られているのではなく、見守られている。立ち止まって、今考えていたことを思い返すといい
- 神社で犬に会う:狛犬のように、その場の守りに迎えられたと受け取る人が多い。→ 神社
日本の縁起
- 戌の日の安産祈願:犬はお産が軽く、たくさんの子を産むことから、安産のお守りとされてきた。妊娠5か月目の最初の戌の日に、腹帯(岩田帯)を巻いてお参りする「帯祝い」の習わしがある。東京・日本橋の水天宮では、鈴の緒のおさがりを腹帯にした妊婦が楽にお産を終えたという言い伝えから、安産のお守りの帯が授けられている。戌の日は12日に一度巡る。→ 妊娠、出産
- 犬張子:犬をかたどった張り子の人形。狛犬が元とされ、室町時代には犬の形の箱「犬筥(いぬばこ)」を産室に飾る風習があった。江戸時代には子どもの玩具として広まり、お宮参りの小物として持たせる土地もある。子どもの災いを身代わりに受けてくれる守り。→ 赤ちゃん
- 狛犬:神社の入口で、阿吽の一対で魔を退ける。→ 神社
- 三峯神社のお犬様:埼玉・秩父の三峯神社では、山の狼を「お犬様」と呼んで神の使いとしている。1720年ごろから、お犬様を1年間お借りして家に迎える「御眷属拝借」が続く。小さな火や盗人の気配にいち早く気づく狼と犬にあやかって、火難除け・盗難除けとされてきた。→ 山、火事、神様
- ここ掘れワンワン:昔話の「花咲か爺さん」では、正直な老夫婦の飼い犬が畑で吠え、掘ると小判が出てくる。犬が福のありかを教える話。→ お金
- 忠犬ハチ公:秋田犬のハチは、飼い主の上野英三郎博士が1925年に急に亡くなったあとも、10年近く、渋谷駅へ迎えに通い続けた。待つ犬の姿は、今も渋谷駅前の像に残っている
タロットの犬
ウェイト版には、犬が描かれている札が3枚ある。
- 愚者:崖の縁を歩き出す若者の足もとで、白い犬が跳ねている。止めようと吠えているとも、一緒に行こうとはしゃいでいるとも読める。犬の夢を見た日にこの札が出たなら、新しい一歩には、ついてきてくれる味方がいる
- 月:二つの塔の間に道が延び、手前で犬と狼が月に向かって吠えている。人に飼われた心と、野生のままの心が並んでいる札。犬に吠えられる夢のあとにこの札が出たなら、その警戒は、まだ形の見えない不安から来ている。→ 月
- ペンタクルの10:アーチの下に三世代の家族が集い、手前に座る老人のそばに2頭の白い犬が寄り添う。家に受け継がれていく豊かさと、それを見守る犬。→ 家
世界の象徴としての犬
- アヌビス:古代エジプトの、犬の仲間ジャッカルの頭をもつ神。死者を冥界へ導き、魂を量る場に立ち会う。見送った犬が夢に来て道を先に歩いていたなら、この道案内の姿と重ねて読む人もいる
- ケルベロス:ギリシャ神話の、冥界の門を守る三つの頭の犬。境目の番人
- シリウス:おおいぬ座のいちばん明るい星で、英語では「ドッグ・スター」。夜空でいちばん明るく見える恒星でもある。→ 星
- アルゴス:ホメロスの『オデュッセイア』で、20年ぶりに乞食の姿で帰ってきた主人オデュッセウスに、老いた犬アルゴスだけが気づく。起き上がる力はもう無く、耳を伏せて尾を振り、そのまま息を引き取った
渋谷駅で10年近く待ったハチも、20年待ったアルゴスも、主人の姿を見分ける目を最後まで持っていた。夢に来た犬が尾を振っていたなら、その目は、今も自分の方を向いている。

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今日の一枚
大アルカナから一枚。
