猫

猫は、暗がりでも見える目をもつ、気ままな福の運び手として読まれてきた。夜目がきくことから日本では魔を見張る守りとされ、手招きひとつで人やお金を呼ぶ招き猫にもなった。夢では、自分の直感と、誰にも合わせない自由な心を表す。西洋では女神の聖獣で、魔女の相棒でもある。どの読みでも、猫は、人には見えていないものを先に見ている生き物として描かれる。
猫の夢
夢占いでは、猫は直感、自由、気まぐれ、そして女性らしさの象徴。猫の夢は、自分の勘が冴えているとき、あるいは、周りに合わせすぎて自分のペースを見失っているときに見やすい。
読み分けの鍵は、猫と自分の距離。猫が寄ってきた、膝に乗った、なでさせてくれたなら、自分の直感とうまくつながっている吉夢。猫が背を向けた、逃げた、威嚇したなら、どこかで自分の本音を置き去りにしている知らせになる。
黒猫の夢
黒猫は、まだ形になっていない予感や、見えない力を表す。夢占いでは、直感に従っていい知らせ。日本では黒猫は福猫とされてきた(下の「日本の縁起」)ので、怖がらなくていい。福を招く夢として、宝くじを買うきっかけにしてもいい。→ 黒、宝くじ
白猫の夢
白猫は、清らかな縁と、恋愛の運の上向きを表す。白猫が近づいてきたなら、素直な気持ちで向き合える相手が近くにいる。→ 白
三毛猫・茶トラ・キジトラの夢
夢占いでは、毛色でも読み分ける。三毛猫は幸運そのもの。茶トラは明るさと人づきあいの運。キジトラは野性とたくましさで、自分の力で切り抜けられる知らせ。毛色をはっきり覚えているほど印象的だったなら、その読みが強く出ている。
子猫の夢
守りたいもの、育てたいものが生まれている夢。始まったばかりの恋や仕事、新しい習慣。子猫がたくさんいたなら、小さな楽しみが次々にやってくる。子猫が自分になついたなら、甘えたい気持ちを我慢しなくていい。
猫をなでる・猫と遊ぶ夢
心がほどけている夢。自分に優しくできている時期。猫が喉を鳴らしていたなら、今の暮らしのリズムが合っている。
猫に噛まれる・引っかかれる夢
夢占いでは、猫に噛まれる夢は、身近な人、とくに女性との関係の小さなすれ違いを表す。ただ、それ以上に、自分の中の言えずにいる本音が、猫の歯の形で出てきたとも読める。痛かったなら、その本音はもう抑えきれないところに来ている。痛くなかったなら、軽く伝えるだけで収まる。
猫が家に入ってくる・猫を飼う夢
家に福が入ってくる夢。猫を飼いはじめる夢は、新しい縁や楽しみを暮らしに迎え入れる準備ができている知らせ。飼う猫の毛色は、上の読みがそのまま通じる。→ 家
猫を助ける夢
弱っている猫を助ける夢は、自分の中の弱った部分を、自分で拾い上げている夢。助けた猫が元気になったなら、疲れていた自分が持ち直してくる。
自分が猫になる夢
誰にも縛られずに過ごしたい気持ちの表れ。猫の体で軽々と動けたなら、今の場所から一歩自由になる力はもう自分にある。
亡くなった飼い猫の夢
亡くした猫が、昔のように足元に来る夢。会いに来てくれた夢として、そのまま受け取っていい。亡くなった人の夢と同じく、元気そうだったなら、向こうで穏やかにしていて、こちらの悲しみも和らいできている。なかなか夢に出てこないのは、離れたからではなく、見守る側にいるから。→ 亡くなった人
現実で猫に出会ったとき
- 猫が家に来る・住みつく:猫に招かれて福が来たという豪徳寺の故事(下の「日本の縁起」)のように、猫が来るのは福が来る知らせとして受け取れる。追い払わず、そっと迎えるのがいい
- 知らない猫が寄ってくる:自分の気配が穏やかになっている。猫は落ち着いた人のそばに来る、と読む
- 猫が前を横切る:流れが変わる合図。右から左か、左から右かを気にする人も多いが、向きよりも、横切ったあとの猫を見る。振り返ってこちらを見たなら、その変化に自分が呼ばれている
- 猫が顔を洗う:「猫が顔を洗うと雨」という天気の言い伝えがある。→ 雨
日本の縁起
- 招き猫:右手を挙げた猫はお金を、左手を挙げた猫は人(お客)を招くとされる。手が耳より高いと遠くの福を、低いと近くの福を招くとも言われる。色にも意味があり、白は開運招福、黒は魔除け、赤は病除け、金は金運。→ 金色、お金
- 豪徳寺の招き猫:江戸時代の初め、彦根藩主の井伊直孝が鷹狩の帰りに荒れた寺の前を通りかかると、門前の猫が手招きをした。寺に入って休むうちに雷雨になり、雨に遭わずに済んだうえ、和尚の話も聞けた直孝は、のちに寺を立て直した。東京・世田谷の豪徳寺に伝わる、招き猫の由来のひとつ
- 福猫としての黒猫:夜でも目が見えることから、黒猫は魔除けや福を呼ぶ猫とされてきた。江戸時代には、黒猫を飼うと労咳(結核)が治る、恋煩いに効くとも言われた
- オスの三毛猫:ごく珍しいことから、航海のお守りとされてきた。1956年に出発した第1次南極観測隊の観測船「宗谷」にも、オスの三毛猫「たけし」がお守りとして乗り込み、昭和基地で越冬した。→ 船
- 十二支に猫がいないわけ:神様が元日の朝に集まった順に十二の動物を選ぶとき、ねずみが猫に一日遅い日を教えたので、猫は間に合わなかった、という昔話がある。猫がねずみを追いかけるのはそれから、と語られる。→ ネズミ
- 猫また:年を経た猫は化けて猫またになる、という言い伝え。鎌倉時代の『徒然草』にも、猫またを恐れる僧の話がある。長く生きた猫には、人の知らない力が宿ると考えられてきた
タロットの猫
ウェイト版で猫が描かれている札は、ワンドのクイーンの1枚。そこに、猫の仲間の獅子を描いた札を並べて読む。
- ワンドのクイーン:獅子の飾りのついた玉座に座り、ひまわりを手にした女王の足元に、黒猫が座っている。明るく人を惹きつける女王が、黒猫の姿で、夜の側の勘も手放していないことを表す。猫の夢を見た日にこの札が出たなら、自分の魅力と直感を、両方とも信じていい
- 力:大アルカナの8番。白い衣の女性が、獅子の口にそっと手を添えている。猫の仲間でいちばん大きな獣を、力ずくではなく優しさで従わせる札。猫に噛まれる夢や引っかかれる夢のあとにこの札が出たなら、本音は穏やかに伝えるほど通る
世界の象徴としての猫
- バステト:古代エジプトの女神。猫、あるいは猫の頭をもつ女性の姿で表され、家と女性、子どもを守る。エジプトでは猫そのものが大切にされた
- フレイヤの猫:北欧神話の女神フレイヤは、2匹の猫が引く車に乗る(『散文のエッダ』)。愛と豊かさの女神と、猫が結びついている
- 魔女の黒猫:ヨーロッパでは、黒猫は魔女の使いともされた。黒猫が前を横切ると、アメリカでは不吉とされることが多いが、イギリスでは幸運のしるしとも言われる
東では福を招き、西では女神に仕える。どちらでも、猫は人の暮らしのすぐそばにいながら、向こう側にも片足を置いている生き物として語られてきた。

関連する項目
黒・白・金色・お金・宝くじ・家・雨・船・ネズミ・亡くなった人・犬
今日の一枚
大アルカナから一枚。
