虎

虎は、魔を退ける守りの力であり、千里を行って千里を帰る力として読まれてきた。毘沙門天のお使いとして寺の門に座り、竹林に身を隠し、鬼の腰にまで皮を巻かれるほど恐れられた。そのいちばん強い獣が、出ていったものを必ず連れ帰る。夢の虎は、自分の中にある強さが、まだ使われずに目を覚ましかけている姿として出てくる。怖い虎でも、なついた虎でも、その力はもとから自分の側にある。
虎の夢
夢占いでは、虎は権威、勇気、実行力、そして金運の象徴。大きな決断の前や、自分より強く見える相手と向き合っているとき、あるいは自分の力を抑えているときに見やすい。
読み分けの鍵は、虎と自分の間の距離。遠くから眺めていた虎は、手の届くところに来た力や機会。こちらへ向かってくる虎は、その力が自分に受け取られたがっている。そばで落ち着いている虎は、その力をもう使いこなせている。
虎に襲われる・噛まれる夢
怖い夢だが、夢占いでは凶夢とはされない。向き合っているのは、自分より強く見える相手や、手に余りそうな課題。噛まれたのに痛くなかったなら、その相手の力は、いずれ自分の後ろ盾になる。噛まれた痛みが残ったなら、無理を重ねている自分の体と気持ちを、いったん休ませる時期。
虎に追いかけられる夢
追ってくる虎は、後回しにしてきた大きな仕事や、自分の中の抑えている怒り。逃げ切ったなら、その件はいったん自分の手で収められる。追いつかれる前に目が覚めたなら、振り返って虎の顔を見る準備が、もう半分できている。初夢で見たなら、その虎は、この一年で向き合う大きなものの姿。→ 追いかけられる
虎と戦う夢
競争の夢。勝ったなら、競り合っている相手や試験を越えていける。負けたなら、正面からぶつかるより、竹林に入る虎のように、身を置く場所を選び直す時期。
虎がなつく・虎を飼う夢
虎の夢のなかで、いちばんの吉夢のひとつ。強い人が味方につく、あるいは自分の強さを自分で飼いならせている。虎を撫でられたなら、その力を人のために使える。家に虎がいて穏やかにしているなら、家を守る力が内側に入っている。→ 家
白い虎の夢
白虎は、四方を守る四神のうち西の守り。白い虎は、守りと浄化の夢で、迷いが晴れて筋の通った決断ができる時期。白い虎に追いかけられた、襲われたなら、はっきり決めなければならないことが近くにある。→ 白
妊娠を願っている人や妊娠中の人が白い虎の夢を見ると、授かりの夢として喜ばれることがある。韓国の胎夢では、虎は力強い子を授かる夢の代表とされる(下の「世界の象徴としての虎」)。→ 妊娠
黒い虎の夢
表に出していない強さ、黙って耐えてきた力。怖かったなら、その力の大きさに自分がまだ慣れていない。黒い虎が静かに寄り添っていたなら、人に見せない粘り強さが、今の自分を支えている。→ 黒
子虎の夢
「虎の子」は、いちばん大事にしているもののたとえ。子虎の夢は、大切に育てている計画や貯え、守りたい人の夢。子虎を抱いていたなら、それはもう自分の手の中にある。
虎が2匹・たくさんいる夢
2匹の虎は、力の釣り合い。張り合っていたなら、自分の中で二つの考えが競っている。3匹以上、たくさんの虎は、勢いがあふれている時期で、やりたいことが一度に来ている。
虎とライオンが出てくる夢
どちらも百獣の王と呼ばれる獣。並んでいたなら、力のある人どうしの縁がつながる。戦っていたなら、自分の中の「攻める力」と「守る力」のどちらを使うかを決める時期。
絵や置物の虎が動き出す夢
一休さんのとんち話では、屏風に描かれた虎を捕まえてみよと言われた一休が、縄を手に「では屏風から追い出してください」と返した。絵の虎が動き出す夢は、心の中で飾りのままにしていた目標が、実際に動き出す知らせ。
虎の夢と宝くじ・金運
寅の日が金運の日とされるので、虎の夢を見て宝くじを買う人は多い。金色の虎、なついた虎、家に入ってくる虎なら、運試しをしてみる時期として受け取っていい。→ 宝くじ、お金
現実で虎に出会ったとき
- 虎に見える雲を見た:龍雲と同じく、強い守りが近くまで来ている合図として受け取れる。龍に見える雲と並んでいたなら、力の釣り合う二つがそろった形。→ 龍
- お寺で狛虎に会った:京都の鞍馬寺や奈良の信貴山では、狛犬の代わりに虎が本堂を守る。毘沙門天のお使いに迎えられたと受け取っていい。→ 神様
- 虎の置物・張子の虎が目に入った:守りと厄除けの縁起物。風水では玄関に置いて、外から入る悪いものを見張らせるとされる
日本の縁起
- 毘沙門天の使い:奈良の信貴山朝護孫子寺では、聖徳太子が物部守屋との戦いの前に祈ったところ、寅年・寅の日・寅の刻に毘沙門天が現れたと伝わる。境内には、全長6mの張子の「世界一福寅」がいる。京都の鞍馬寺でも、寅の夜の夢のお告げと白い馬に導かれて山に入った僧・鑑禎の前に、毘沙門天が寅の月・寅の日・寅の刻に現れたとされ、本殿の前を阿吽の虎が守っている。→ 神様、馬
- 寅の日:12日に一度巡る。虎は「千里を行って千里を帰る」とされ、出ていったお金が戻る日として財布の使い始めに選ばれる。同じ理由で、「出戻る」に通じるとして結婚や入籍を避ける人もいる。→ お金、財布、結婚
- 竹に虎:取り合わせのよいもののたとえ。虎は象には勝てないが、象の大きな体と牙は竹やぶに入れない。竹林は、いちばん強い獣がそれでも身を休める場所
- 張子の虎:大阪・道修町の少彦名神社では、文政5年(1822年)のコレラの流行のとき、薬種商が「虎頭殺鬼雄黄圓」という丸薬を作り、祈祷した張子の虎と一緒に配った。今も11月22・23日の神農祭で授けられる病除けのお守り
- 鬼の虎の皮:鬼が出入りする北東の鬼門は、十二支で丑寅の方角。そこから、牛の角を生やし、虎の皮を締めた鬼の姿が生まれたとされる。→ 家
- 虎が雨:旧暦5月28日の雨。→ 雨
- 寅年:十二支の3番目。2022年が寅年で、次は2034年
タロットの虎
ウェイト版に虎の描かれた札は無い。大アルカナの力に描かれた獣も、虎ではなく獅子。虎の読みと重なる札を挙げる。
- 力:白い衣の女性が、獅子の口にそっと手を添えている。頭上には無限大の印。猛獣を力ずくでなく御する札で、虎がなつく夢、虎を撫でる夢と同じ場面を描いている
- 世界:輪の中で踊る人物の四隅に、天使・鷲・獅子・牛が描かれる。四方を守る獣という点で、四神の白虎に近い。虎の夢を見た日にこの札が出たなら、ひとめぐりした力が、自分のところへ帰ってきている
世界の象徴としての虎
- 額の「王」の字:中国では、虎の額の縞が「王」の字に見えることから、虎が百獣の王とされてきた
- 白虎:四神で西と秋を受け持つ。東の青龍と対になり、「龍虎」は力の拮抗する二者のたとえになった。→ 龍
- 虎の威を借る狐:『戦国策』の話。狐が「自分は天帝に百獣の王にされた」と言って虎を連れ歩き、獣たちが逃げるのを見せて虎を信じ込ませた。逃げたのは、狐の後ろの虎を恐れたから。→ 狐
- 虎穴に入らずんば虎子を得ず:『後漢書』班超伝の言葉。後漢の武将・班超が、わずか36人の部下を励ましたときに言ったとされる
- 鵲虎図:朝鮮の民画で、松の下の虎と、枝の鵲(かささぎ)を描く。虎は魔除け、鵲は吉報を運ぶ鳥で、新年の知らせを願って飾られた。韓国の胎夢でも、虎は授かりのめでたい夢とされる
張子の虎は首を揺らしながら道修町の病を払い、信貴山の福寅は山の上で毘沙門天の門を守っている。夢の虎がこちらに背を向けて座っていたなら、それは寺の門の虎と同じ向きで、自分の側に立って外を見張っている。

関連する項目
龍・狐・白・黒・お金・財布・宝くじ・神様・神社・家・雨・結婚・妊娠・追いかけられる・馬
今日の一枚
大アルカナから一枚。
