時計

時計は、自分の中を流れている時間の速さとして読まれてきた。夢の時計が正しく動いていたか、止まっていたか、進んでいたか遅れていたかは、世の中の時間ではなく、いまの自分の歩き方を映す。時計は、人から人へ手渡される物でもある。贈られた時計には「同じ時を刻む」願いが、形見の時計には、その人が生きた時間が込められる。止まった時計、壊れた時計の夢は怖く見えるが、夢占いでは、時間の進み方を合わせ直す時期の知らせとされる。
時計の夢
夢占いでは、時計は時間そのもの、そしてこれからの生き方の段取りを表す。締め切り、約束、年齢、人生の節目。時計の夢を見るのは、時間のことが頭のどこかに引っかかっているとき。
読み分けの鍵は二つ。
- 針が動いていたか、合っていたか:正しく動く時計は、今のペースで進んでいい知らせ。止まっていた、ずれていたなら、自分の時間と周りの時間のどこかが合っていない
- 誰の時計か:自分の時計か、もらった時計か、亡くなった人の時計か
時計を見て焦っていた夢、約束の時刻に遅れる夢は → 遅刻
時計が止まる夢・止まった時計の夢
止まった時計は、物事が足踏みしている知らせ。仕事や恋が進まない、決めなければならないことを先送りしている。同時に、走り続けてきた人がひと息つく時期の夢でもある。止まっていても怖さがなかったなら、休んでいい。止まった時刻を覚えていたなら、その時刻に何か心当たりがないか思い返してみる。夢の中でネジを巻く、電池を替える夢なら、止まっていたことが動き出す。
時計が壊れる・ガラスが割れる夢
ひとつの区切りが来ている夢。生活のリズムが乱れている、無理が続いている知らせでもある。ガラスだけが割れて針は動いていたなら、形は変わっても、大事な流れは続いている。壊れた時計を直してもらう夢は、崩れたリズムを取り戻せる夢。
時計が進む夢・遅れる夢
時計が進んでいた夢は、気持ちが先へ先へと急いでいる。まだ来ていない締め切りに、心が先に追われている。遅れていた夢は、思い違いや見落とし、予定の組み違いに気づく時期。どちらも、自分の時計を一度周りと合わせ直す知らせ。狂った時計の夢は、下の「世界の象徴」の帽子屋の時計と重なる。
時計の針が逆に回る夢
過去に戻りたい気持ち、やり直したいことがある夢。懐かしい人や場所と一緒に見たなら、その頃の自分が持っていたものを、今の自分が取りに行く時期。
時計をもらう夢
支えてくれる人が現れる夢。くれた人が恋人なら、同じ時間を歩いていきたいという気持ちの表れ。上司や年上の人からなら、期待をかけられている。亡くなった人からもらう夢は、その人の時間を引き継ぐ夢として読む(次の節)。
形見の時計・亡くなった人の時計の夢
祖父や父の腕時計、祖母の懐中時計が出てくる夢は、受け継ぐ時間の夢。その人が担ってきた役目が、少しずつ自分の番になってきている。時計が動いていたなら、その人の時間は自分の中で続いている。→ 祖父、亡くなった人
時計を買う夢・新しい時計の夢
新しい暮らしが始まる夢。高級な腕時計を選んでいたなら、自分の時間の価値を認めはじめている。気に入った一本を見つけられたなら、自分に合ったペースが見つかる。
時計をなくす・盗まれる夢
時計をなくす夢は、この先の予定が見えず、不安がある夢。時間に追われる暮らしから離れたい気持ちが、時計を手放す形で出てくることもある。時計を盗まれる夢は、夢占いでも読みが分かれる。物を盗まれる夢を逆夢と見て、かえって手柄や実入りを得る吉夢とする読みと、自分の成果を誰かに横取りされる心配の表れとする読み。盗まれたあとに気持ちが軽かったなら前者、悔しさが残ったなら後者として受け取る。
目覚まし時計が鳴る夢
気づくべきことに、目を向ける時が来ている夢。鳴っているのに止められなかったなら、ずっと後回しにしてきたことがある。
大きな時計・懐中時計の夢
柱時計や大時計は、家や一族の中を流れてきた長い時間。懐中時計は、自分だけが持っている時間の感覚で、蓋を開けて見ていたなら、人とは違う自分のペースを大事にしていい。→ 家
夢の中で同じ時刻・ゾロ目を見る夢
夢の中で時計を見るたび同じ時刻だった、ゾロ目の時刻だった夢は、数字そのものの意味と重ねて読む。→ 数字
現実で時計に出会ったとき
- 家の時計が止まった:風水では、止まった時計をそのまま置いておくと運気が滞るとされ、電池を替えるか、直すか、手放すのがよいとされる。昔から、持ち主が亡くなったときに時計が止まった、という話は洋の東西に多い(下の「大きな古時計」)
- 腕時計のベルトが切れた:スピリチュアルでは、縛られていたものから離れる区切り、新しい段階へ移る合図と受け取られることが多い
- ふと見た時計がゾロ目だった:444、555、222 のような並びの意味は → 数字
- 形見の時計を身につける:止まった形見の時計を直して使う人は多い。その人の時間を、自分の手首でもう一度動かすことになる
日本の縁起
- 時の記念日と漏刻:『日本書紀』によれば、天智天皇10年(671年)、近江大津宮に漏刻(水時計)が置かれ、鐘と太鼓で時が知らされた。太陽暦に直したこの日が6月10日で、1920年に「時の記念日」と定められた
- 近江神宮の漏刻祭:天智天皇を祀る大津の近江神宮では、毎年6月10日に漏刻祭が行われる。全国の時計業界の人が参列し、新しい時計を神前に供える。時計の神様にお参りする場所として知られる。→ 神社
- 時計を贈る意味:時計には「時間を大切に、勤勉に」という意味が込められるとされ、目上の人に贈るのは失礼と言われることがある。恋人や家族に贈るなら「同じ時を刻んでいこう」という願いになる。→ 結婚
- 八角形の時計:風水では、八角形は八方位と八卦に通じる形で、運を整えるとされる。八角形の壁掛け時計を縁起物として選ぶ人も多い
- 江戸の時の鐘と、季節でのびちぢみした一刻は → 遅刻
タロットの時計
ウェイト版に、時計を描いた札は無い。ただ、巡る時間と、過ぎた時間を描いた札がある。
- 運命の輪:天使や獣に囲まれた大きな輪が回り、上にはスフィンクスが座る。ウェイトは、この輪を流れ続ける宇宙と人の暮らしの移ろい、スフィンクスをその中の釣り合いと書いた。時計が進む、遅れる夢を見た日にこの札が出たなら、輪が回るのに任せて、自分は真ん中の釣り合いを保っていればいい
- カップの6:古い庭で、子どもが花を活けた杯を小さな子に差し出している。ウェイトはこの札を「過去と思い出の札」と書いた。形見の時計の夢、針が逆に回る夢と同じ場所を見ている札で、過去から今の自分へ、何かが手渡される
世界の象徴としての時計
- 送鐘:中国語では、掛け時計や置き時計の「鐘」と、終わりの「終」が同じ音になる。「時計を贈る」は、人の最期を看取る「送終」に聞こえるので、時計は贈り物として避けられてきた。広東語でも同じ音になる香港では、代わりに腕時計を贈ることが多い。どうしても贈るときは、受け取る側が小銭を払い、買ったことにする
- 時計を止める:ヴィクトリア朝のイギリスでは、家で人が亡くなると、その時刻で家の時計を止める習わしがあった。亡くなった時刻を留め、故人に敬意を払うためとされる
- 大きな古時計:ヘンリー・クレイ・ワークが1876年に作った歌。イングランドのジョージ・ホテルにあった大きな箱型の時計が、持ち主の兄弟の一人が亡くなると狂いはじめ、もう一人が亡くなると止まってしまった、という話から生まれたとされる。日本では保富康午の訳詞で、1962年にNHKの「みんなのうた」で広まった。おじいさんが生まれた朝に来て、亡くなったときに止まった時計の歌として知られる。→ 祖父
- 帽子屋の時計:『不思議の国のアリス』の帽子屋の時計は、時刻ではなく日付を指す。その日付が二日狂っていて、帽子屋は時計を振っては耳に当て、三月ウサギが機械にバターを入れたせいだとこぼす。時間を怒らせてしまってから、帽子屋のところではずっと6時のままで、いつまでもお茶の時間が続いている。汚れた茶器を洗う間もなく、席をひとつずつずれていくしかない。白ウサギの懐中時計は → 遅刻、うさぎ
ジョージ・ホテルの時計は、主人がいなくなったあと、止まったまま置かれていたという。夢で止まった時計を見た朝も、その針は終わりの時刻を指しているのではなく、ネジを巻く手が来るのを待っている。

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