初恋の人

初恋の人が夢に出てくるのは、恋を初めて知った頃の自分と、今の自分とが背比べをしているからと読まれる。『伊勢物語』の幼なじみが井戸の縁で背丈を比べたように、夢は、あの頃のまっすぐな自分をそっと横に立たせて、ここまでどれだけ伸びたか、何を置いてきたかを見せる。夢の中の初恋の人は、相手の今の暮らしより、始まりの頃の自分の気持ちの姿をしている。読み分けの鍵は、相手があの頃の姿か大人の姿か、夢の中の自分が何歳だったか、そして目が覚めたときの気持ち。
初恋の人が夢に出てくる意味
夢占いでは、初恋の人の夢は、純粋さへの憧れと新しい始まりの前触れを表す。仕事や暮らしに慣れて、何かを始めるときの胸の高鳴りを忘れかけているとき、人生の節目で原点に戻りたくなっているときに見やすい。恋の夢であると同時に、自分の出発点を確かめる夢でもある。
読み分けの鍵は三つ。
- 相手の姿:あの頃のままか、大人になった姿か
- 夢の中の自分の年齢:子どもや学生に戻っていたか、今の自分のままだったか
- 目覚めたときの気持ち:甘かったか、切なかったか、懐かしさだけが残ったか
状況ごとの読み
何度も・頻繁に夢に出てくる
同じ初恋の人を繰り返し見るのは、あの頃の自分が持っていた何かを、今の自分が必要としているとき。好きなものを好きと言えたこと、損得を考えずに動けたこと。何度目かの夢で相手の姿が少しずつ大人になっていくなら、あの頃の気持ちが、今の自分の中で育ち直している。
何十年ぶりに突然出てくる
長く思い出しもしなかった初恋の人が、ある晩いきなり出てくる。夢占いでは、年齢や暮らしの大きな節目、たとえば子どもが巣立つ、仕事がひと区切りつく、住まいが変わるといった時期に見やすい夢とされる。ひとつの章が終わるとき、夢はいちばん最初の章を開いて見せる。ここから先を、あの頃の自分ならどう始めるかを思い出させるために。
結婚してから・既婚の人が見る
「結婚しているのに」と検索されることの多い夢。夢占いでは、既婚の人が見る初恋の夢は、今の相手への気持ちが離れている知らせではない。暮らしが役割で埋まって、ときめく自分が後ろに下がっているときに、いちばん古いときめきが顔を出す。
夢の中が穏やかだったなら、自分のために胸の高鳴る時間を少し増やしていい知らせ。昔好きだった音楽を聴く、夫婦で初めて行く場所へ出かける。始まりの頃の気持ちは、今の暮らしの中にも取り戻せる。→ 旦那、結婚
会いたい気持ちが募る夢・再会する夢
夢の中で大人になった初恋の人と再会するのは、止まっていた何かがまた動き出す夢。昔の夢をもう一度手に取る、疎遠になっていた縁がつながる時期として読まれる。再会した相手が思っていたより普通の大人だったなら、あの頃の憧れを自分の足で越えてきた証。
あの頃の姿のまま出てくる・学校が舞台の夢
教室や通学路、制服姿の初恋の人が出てくる夢は、その頃の自分に戻って、選ばなかった道を見直している夢。自分も子どもに戻っていたなら、今の暮らしに遊び心が足りていない。学校の夢の読みは 昔の友達 にも。
付き合う夢・両思いになる夢・イチャイチャする夢
叶わなかった初恋が夢で叶うと、甘い気持ちで目が覚める。夢占いでは、心が満たされていく時期の知らせで、恋に限らず、やりたかったことが形になりやすい。相手と並んで笑っていたなら、自分を好きでいられる時期に入っている。
告白される夢
初恋の人から想いを告げられる夢は、自分の良さを認めてもらいたい気持ちの表れ。同時に、自分に自信を持っていい時期を告げる吉夢として読まれる。
手を繋ぐ・キスする夢
手を繋ぐ夢は、あの頃の素直さと、もう一度並んで歩きたいという気持ち。キスの夢は、心を通わせたい気持ちが強まっている知らせ。相手が初恋の人の姿なのは、心を通わせることを初めて知ったのが、その人だったから。
振られる夢
初恋の人に振られる夢は、挑戦を前にした不安の姿。初めて傷ついたときの記憶が、今の緊張と重なって出てくる。夢の中で泣けたなら、張りつめていたものが流れた。
初恋の人と結婚する夢
→ 結婚
夢の中で初恋の人と別の誰かが重なる
初恋の人の顔が、途中で今の恋人や知らない人に変わる夢。初恋の人に似た人に惹かれる、という人も多い。夢占いでは、自分が人を好きになるときの原型がそこにある、と読む。今の相手の中に初恋の頃と同じ何かを見ているなら、その恋は自分の芯に触れている。→ 好きな人
亡くなった初恋の人が出てくる
→ 亡くなった人
再会のスピリチュアル
夢を見たあとで、初恋の人の消息を聞いた、偶然行き会ったという話はよく語られる。スピリチュアルでは、夢と再会が重なるのは、ひと巡りして出発点に戻ってくる時期と読まれる。何かが一周して、新しい周回が始まるところ。相手の想いが夢に届くという昔の考え方は 好きな人 に。
日本の言い伝え
- 筒井筒:『伊勢物語』第23段。井戸のそばで一緒に遊んだ幼なじみの男女が、大人になると互いに恥じらうようになったが、心は通っていた。男は「筒井つの井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに」(井戸の縁で比べた私の背丈も、あなたに会わないうちに縁を越えてしまったようだ)と詠み、女は「くらべこしふりわけ髪も肩すぎぬ君ならずしてたれかあぐべき」(比べてきた髪も肩を過ぎた、あなたでなくて誰のために髪を上げましょう)と返す。女は親の勧める縁談を聞かずにいて、二人は望みどおり結ばれた。幼なじみの恋を「筒井筒」と呼ぶのは、この話から
- 能「井筒」:世阿弥が筒井筒の女を主人公にした夢幻能。秋、大和の在原寺で、旅の僧の夢に女の霊が現れ、業平の形見の衣を着て舞う。井戸の水をのぞき込み、映った自分の姿に業平の面影を見て「見ればなつかしや。我ながらなつかしや」。在原寺の鐘がほのぼのと鳴って夜が明け、「夢も破れて覚めにけり、夢は破れ明けにけり」と曲は終わる。初恋の人の姿と自分の姿が水の面で重なる、夢の中の話
- 藤村の「初恋」:島崎藤村の詩集『若菜集』の「まだあげ初めし前髪の林檎のもとに見えしとき」。髪を結い上げはじめたばかりの少女と林檎の木の下で出会う詩で、筒井筒の「髪を上げる」と同じく、少年少女が大人へ移る境目の恋を歌っている
タロットでは
以下はウェイト版の絵柄。
- カップのエース:雲から出た手が杯を捧げ持ち、杯から幾筋もの水があふれ、鳩が降りてくる。下の水面には睡蓮。ウェイトは「真実の心の家」、喜び、満ち足りることの札とした。数の始まりのエースは、恋の始まりの札。初恋の人の夢を見た日にこの札が出たなら、あの頃の気持ちの泉は、まだ涸れていない
- カップの2:若者と娘が向かい合い、杯を交わして誓い合っている。杯の上には翼と獅子の頭をもつヘルメスの杖。ウェイトは愛、友情、共感、結びつきの札とした。初恋の夢のあとにこの札が出たなら、今そばにいる人と、改めて杯を交わしていい時期
- 思い出と過去の札 カップの6 は 昔の友達 に
能「井筒」の女は、井戸の水に映る自分の中に、初恋の人の面影を見て「我ながらなつかしや」と言った。初恋の人の夢から覚めた朝に懐かしさが残っていたなら、それは相手と一緒に、井筒の縁で背を比べていた頃の自分を見つけた懐かしさでもある。

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好きな人・元カノ・元彼・昔の友達・結婚・旦那・亡くなった人・知らない人・水
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大アルカナから一枚。
