フクロウ

フクロウは、暗がりの中でも見通す目をもつ、知恵と見守りの鳥として読まれてきた。夜の森で音もなく飛び、首をぐるりと回して、人の見落とすものを見ている。日本では「不苦労(苦労しない)」「福籠(福がこもる)」に通じる縁起物で、ギリシャでは知恵の女神アテナの鳥、北海道のアイヌの人々にとっては村を守る神だった。夢のフクロウは、今はまだ見えていないものが見えてくる知らせ。
フクロウの夢
夢占いでは、フクロウの夢は多くが吉夢とされる。表しているのは、知恵、見通し、落ち着いた判断、そして誰かに見守られていること。鳥の夢に共通する「知らせが届く」読みに、夜の鳥ならではの隠れていたものに気づく読みが重なる(鳥の夢全般は → 鳥)。
読み分けの鍵は、フクロウの目。大きく開いた目でこちらを見ていたなら、見守りと気づきの夢。目を閉じてじっとしていたなら、今は動かずに考えを熟させる時期。目をそらされた、姿を見失ったなら、答えはまだ自分の視野の外にある。
フクロウと目が合う夢
フクロウの夢のなかでも、いちばんはっきりした知らせ。迷っていることの答えを、自分はもう知っている。まっすぐ見つめ返せたなら、その答えを信じていい。少し怖かったなら、見ないふりをしてきたことに、そろそろ向き合う時期に来ている。
フクロウが腕や肩にとまる・なつく夢
知恵のある味方が近くに来ている夢。腕にとまったなら、自分の力で判断して動ける時期。肩にとまったなら、目上の人や経験のある人から、いい助言が届く。なついて離れなかったなら、その支えは長く続く。
白いフクロウの夢
白いフクロウは、フクロウの夢のなかでいちばんの吉夢とされる。守られている、導かれているという知らせ。たくさんの白いフクロウに囲まれていたなら、願いに向けて、周りの助けがそろってくる。→ 白
黒いフクロウの夢
まだ表に出ていない考えや、胸の奥で温めている計画。夢占いでは、黒いフクロウは人に言わずに進めていることが実る知らせとも読まれる。怖かったなら、隠していることを自分で持て余している。→ 黒
フクロウに襲われる夢
怖い夢として検索されることが多い。夢占いでは、見落としていたことを、少し強い形で知らされる夢。仕事の細かいところ、誰かのひと言、自分の体の疲れなど、気づいてほしいものがある。追い払えた、逃げ切れたなら、その件はもう自分で片づけられる。
フクロウが飛んでいく夢
音もなく飛ぶフクロウは、物事が静かに、しかし確かに動き出す知らせ。夜空をまっすぐ飛んでいったなら、迷っていた道が決まる。自分の方へ飛んできたなら、知恵や助けがやってくる。→ 飛ぶ
フクロウを飼う・ヒナの夢
知恵を身につけ、育てている夢。勉強や資格、仕事の腕を磨いているときに見やすい。フクロウのヒナは、まだ小さな才能や、育ちはじめた計画。
フクロウと話す夢
フクロウに言われた言葉を覚えていたなら、それが今の自分に必要な助言。言葉が思い出せなくても、話していて落ち着いたなら、自分の中の知恵とつながれている。
フクロウが家の中にいる夢
家に福がこもる夢。「福籠」の語呂のとおり、暮らしが落ち着いて、蓄えが増えていく。家族の中に、みんなを見守る人がいるという知らせでもある。→ 家
フクロウの死骸の夢
驚く夢だが、ひとつの考え方や迷いが区切りを迎える夢。これまで頼っていたやり方を手放して、新しい見方に移っていく。
ミミズクの夢
耳のように見える羽(羽角)をもつのがミミズク。読みはフクロウとほぼ同じで、耳の羽がよく立っていたなら、人の話や噂を聞き分ける力が冴えている。
フクロウの夢と宝くじ
「不苦労」「福籠」の縁起から、フクロウの夢は金運の夢としても読まれる。金色のフクロウなら、なお。→ 宝くじ、金色
現実でフクロウに出会ったとき
- 野生のフクロウを見た:夜の森にいるフクロウは、人の前に姿を見せることが少ない。見かけたこと自体を、見守られているしるしとして受け取れる
- 夜に鳴き声を聞いた:フクロウの「ゴロスケホーホー」という声は、各地で「五郎助奉公」「ぼろ着て奉公」「糊付け干せ」と聞きなされてきた。「糊付け干せ」と聞こえたら、明日は洗濯物に糊をつけて干せるほど晴れる、と言う土地もある
- 神社でフクロウに出会った:神社のフクロウの像や、境内に来たフクロウは、苦労を運び去る使いとして喜ばれる。→ 神社
- フクロウをよく見かける:置物や絵柄も含めて、フクロウが目に留まる時期は、知恵を借りたい時期。玄関に置物を置く人も多い
日本の縁起
- 語呂の縁起:「不苦労(苦労しない)」「福籠(福がこもる)」「福来(福が来る)」「富来老(豊かに年を重ねる)」。首がよく回ることから「首が回らない」にならない、お金に困らない、とも言われる。→ お金
- 鷲子山上神社(とりのこさんじょうじんじゃ):栃木と茨城の県境、鷲子山の山頂にある神社で、県境が大鳥居と本殿の真ん中を通る。祭神は鳥の神・天日鷲命。境内には約120体のフクロウ像が並び、フクロウは苦労を運び去る神の使いとされる。社務所前から拝殿前までの石段は96段で「苦労」、往復すると96段を2回で「2・96(ふくろう)」になると言われる
- すすきみみずく:東京・雑司ヶ谷の鬼子母神に伝わる、すすきの穂で作ったミミズク。昔、母の病を治したくて百度参りをしていた孝行娘のくめの前に、鬼子母神の化身の蝶が現れ、すすきでミミズクを作って売るよう告げた。売れたお金で薬を買い、母は快方に向かったという。今も10月のお会式のころに授与される
- コタンコロカムイ:北海道のアイヌの人々は、シマフクロウを「コタンコロカムイ(村を守る神)」と呼んで敬ってきた。狩人に熊の居場所を教えてくれる鳥とする土地もある
- 縁起が悪いと言われるわけ:古い中国では、フクロウは育った子が母鳥を食べる不孝の鳥とされ、日本の江戸時代の本草書『本朝食鑑』にも、人家の近くにいると凶と記される。夜に鳴く鳥なので、夜の不安と結びつけられてきた。ただ同じ鳥が、今は苦労を運び去る縁起物として、神社の境内や家の玄関に置かれている
タロットのフクロウ
ウェイト版にフクロウが描かれた札は無い。フクロウの夜の目と、静かな知恵に重なる札を並べて読む。
- 女教皇:白と黒の二本の柱の間に座り、足もとに三日月、手には巻物を抱く。表に出ていない知恵と直感の札。フクロウと目が合う夢のあとにこの札が出たなら、答えはもう自分の中にある。→ 月
- 隠者:雪の山の頂で、星の光る灯りを掲げて立つ老人。ひとりで考えを深める札。目を閉じたフクロウの夢と重なったなら、今は急がず、灯りの届くところから確かめていい
- 月:二つの塔の間に道が延び、犬と狼が月に吠える夜の札。物の姿がはっきり見えない時期に、夜の鳥の目を借りる札。フクロウに襲われる夢の日なら、見落としに気づく入口にいる
世界の象徴としてのフクロウ
- アテナのフクロウ:ギリシャ神話で、知恵と技芸の女神アテナの鳥。女神の町アテナイの銀貨には、表に女神、裏にフクロウとオリーブの枝、三日月が刻まれた。そのフクロウは小型のコキンメフクロウで、学名にも女神の名 Athene が入っている
- ミネルヴァのフクロウ:ローマではアテナはミネルヴァと呼ばれた。哲学者ヘーゲルは『法の哲学』の序文で「ミネルヴァのフクロウは、迫り来る黄昏とともに飛び立つ」と書いた。ひとつの時代が終わりかけたころに、知恵がようやくそれを見通す、という意味で今も引かれる言葉
- 死の鳥と知恵の鳥:西洋でも、近くでフクロウが鳴いた家には死者が出ると恐れられた時代がある。一方で、アテナの鳥として知恵の象徴にもなった。日本と同じく、夜の鳥の二つの顔が並んでいる
アテナイの人々は、女神のフクロウを刻んだ銀貨を毎日手にして暮らしていた。雑司ヶ谷では、すすきのミミズクが孝行娘の手で一羽ずつ作られて、母の薬に変わった。夢に来たフクロウがどんな目をしていたかを覚えておくと、その日の迷いに灯りがひとつ増える。

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